千倉の次に降りた駅は和田浦駅。経験値が低いとは言え、この辺り、千倉のほか、千歳、江見、太海など、割と知っている駅名が並んでいたが、そんな中、和田浦は聞き馴染みのない駅名だった。この駅には全行程最長の、63分の滞在となる。
駅舎は入口が高く屋根の上がった特徴的な駅舎。しかしその入口が左に寄っているため、左側(西側)から撮ろうと試みたが、朝の斜光線をまともに拾ってしまう。少し正面に回ると広くはない駅前のロータリーにデカイ蘇鉄があって邪魔になる。微妙に撮りづらい駅舎で撮影に苦労した。色んな角度から撮って、結局その蘇鉄越しに正面気味に西側から撮ったものがまだマシになった。
捕鯨基地がある町の駅のようで、待合室に捕鯨関連の展示があるし、ホームには鯨の頭蓋骨の標本がある。こういした駅ホームに展示物や装飾物の多い駅は楽しい。また駅の裏手にシロナガスクジラの巨大な骨格標本が見える。町の捕鯨資料館のようだ。正月期間なので開いてはいないが、列車時間の余裕もあるので、近くまで見に行く。天気もよく気温もぼちぼち上がっているので散策がてら近所を散歩した。
駅舎も、駅舎内も、ホーム、そして駅周辺も、いずれもなんとなくヒトクセあって楽しかったし、時間があったこともあって雰囲気としてはのんびりとした長閑な「駅取材」となったためか、今思い出してもこの駅取材旅行で和田浦駅が最も印象深い駅となった。 |
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和田浦駅前の大きなソテツの木。雰囲気はよいのだが朝の光線状態も合わせて撮影には邪魔だった。 |
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和田浦駅2番ホームから、捕鯨の博物館があり、シロナガスクジラの巨大な骨格標本が見えた。 |
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レトロな駅名板が印象的な江見駅。現在は改築されてしまったとか。 |
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外房線に入って、こちらもかねてから気になっていた駅、行川アイランド。 |
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和田浦からは予定通り、南三原、太海、江見と下車し、列車本数が少ないので各駅基本的にやや長めに滞在する。
2日目は晴天と沿線の雰囲気が長閑であることと滞在時間が各駅結構長めであることも手伝って、のんびりとした、「駅取材」というかこういうのを長閑に「駅巡り」と呼ぶのだろう。この辺りの駅には何とはない最果て感があってそれぞれ印象深い。
正午手前で内房線の終点安房鴨川に到達したが一旦は乗換のみでスルー。この乗換で内房線から外房線に入る。一方向に進むのだが、(内房線)下り列車から、(外房線)上り列車に変わっている。
そしてその先で昨日の浜金谷以来の上総国へ。観光地の駅前という空気のほのかにある上総興津駅で、駅前のラーメン屋で昼食。昼食はラーメンと、列車旅の醍醐味で昼から生ビール。
この後再び安房鴨川へ戻り、安房鴨川と勝浦の間、そして御宿と大原の間に特急「わかしお」を使う。そしてこのまま外房線を行ったり来たりしながら北上する。そうして2日目に関してはおおよそトラブルなく、予定通り終了。
2日目で唯一トラブルを挙げるとすると、最後の取材駅長者町駅が、昨日の館山駅よりも遅い17時11分着であったため日没後となり、翌日持ち越しとなったこと。この時期地元金沢ではこの季節雪や曇りも多いが、もう少しいけた気もするが、より東に来ているため、17時にはもう照度が足りない。
ここで2日目の予定は終了で、茂原泊。茂原では駅前のホテル泊で、今日は近くのチェーンの焼き鳥屋さんで夕食。
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内房線、外房線の終点安房鴨川駅。 |
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安房鴨川からは特急で外房の主要駅のひとつ勝浦へ。 |
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車窓からの海もそろそろ見納め。勝浦付近にて。 |
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リゾートな雰囲気の御宿駅前。街路樹がシュロの木で、南国ムード満点。 |
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御宿から大原へ、再び特急を利用する。 |
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日没後だが一応来てみた長者町駅。明日の朝再訪問に予定を変更する。 |
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全くの余談だが、今回の連休、滅多にない9連休なので9日間ヒゲを剃らずに伸ばしてみようという、まあこれも中々できない他愛のないチャレンジもしていた。そしてここまで駅取材中トイレの洗面所などで顎に埃っぽいものがついてるなと思い、何となくはらっていたのだが、ホテルに戻ってしげしげと見てみると、埃だと思っていたのは白いヒゲで、随分混じっていることに気付いた。
歳取ったなあ、と、スマホを持って初めてインカメラを使い、自撮りをしてみた。カメラの向け方が目茶苦茶難しい。茂原のホテルを思い出したとき、この記憶が同時に蘇る。
それから金沢を出たときの体調不良、止まらない咳は、房総の澄んだ空気が良かったのか、随分症状改善している。でもやっぱりたまに咳が出る。すると頭に響き、腹筋が悲鳴を上げる。これも茂原のホテルの記憶。昼からビールなんか飲んでいたけれど、やっぱり体調は万全ではない。
◇3日目(茂原→下総神崎→金沢)、そしてお約束の…
さて最終日3日目。3日目の予定は以下。 |
【3日目の行程】
茂原7:11→7:15八積(43)7:58→8:02上総一ノ宮(14)8:16→8:38大網9:01→9:22成東9:27→9:38横芝(16)9:54→9:59松尾(16)10:15→10:46旭(30)11:16→11:30八日市場(49)12:19→12:51松岸(17)13:08→13:24下総橘(58)14:22→笹川(4)→14:48佐原(25)15:13→15:28小見川(17)15:45→16:21下総神崎(50)17:11→17:16大戸(39)17:55
→19:08千葉19:13→19:54東京20:12→[新幹線とき]→21:20越後湯沢21:30→[特急はくたか]→0:03金沢 |
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茂原駅とそれ以北の外房線は前年「取材済み」のため、茂原以南の数駅を拾った後で大網から東金線に入り、総武本線南部区間の積み残し駅、さらに成田線成田以東の積み残し駅を訪問する。
ただし昨日の長者町駅の拾い残しがあるので、予定より1本早い列車からスタートする。
3日目の予定で難があるとすると、成田線の笹川駅。列車交換の推定4分停車中に撮影して、同じ列車に戻る。ただしこの駅は1日目の保田と異なり、若干時間の余裕があったのと、事前調べが的中して無駄なくクリア。
この日は前2日よりやや雲が出ているが、それでも概ね晴天が続き、特にトラブルなく回れている。さすがに太平洋側だ。地元日本海側の金沢は冬の日照日数は特に極めて少ない。
そして2日目と同じく計画「ラス2」の駅、下総神崎滞在中に日没となり、17時台となる計画の最後の駅大戸駅はやはり日没のため未達となった。
ただこの辺り、総武本線八街近辺、成田線の成田と大戸の間、鹿島線全区間に「未取材駅」が残るので、いずれにせよ再訪するつもりであるため、大ダメージではない。またの機会に、ということになる。
とりあえず3日間を費やした房総半島の駅巡りはこれにて終了。
日没を迎えた下総神崎駅で8日目を終えようとしている連休を振り返る。体調不良がちょっと残念だが、駅巡りも概ねトラブルなく終えたし、まあ充実した連休だったとちょっと晴れ晴れとした気持ちになった。
帰路は千葉、錦糸町で乗り換えて東京に、東京から上越新幹線に乗って越後湯沢で最終便の特急「はくたか」に乗り換え、日付が変わった頃に金沢到着という予定。 |
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3日目はまだ暗い茂原駅からスタート。 |
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朝日がまぶしい3日目最初の下車駅、八積駅。 |
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八日市場駅の駅前中華屋でトマトラーメンの昼食。そして写っていないが、やっぱり生ビールも。 |
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総武本線終点一つ手前の駅、松岸。ここから成田線へ入る。 |
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列車交換中に「駅取材」をする笹川駅に進入中。見込みどおり跨線橋の内側に下車できそう。 |
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笹川駅の列車交換。「取材」も終わって、急いで左手の列車へ向かう。 |
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謹賀新年の文字や門松などが各駅で見られた。小見川駅にて。 |
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結果的に最終取材駅となった下総神崎駅。ちょっと晴れ晴れした気分で帰宅の列車を待つ。 |
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が、最後にお約束の最大のトラブルが待っていた。
東京駅から上越新幹線「とき」に乗る。指定席の席番号を確認しながら歩いていると、「あれ?」
3席ほど向こうの、おそらく自分の指定席に、…先客がいる。
席間違えてません?、そう声をかけようとして、一応切符を確認する。「とき347号8号車5番C席」うん、間違いない。
ただ自分でもここで踏み止まったのが本当に不思議なくらいなのだが、もう一度切符を見た。「1月5日20:12発とき347号8号車5番C席」。
…うん?今日1月5日か?
なぜこの時日付も確認しようと思ったかは本当に謎なのだが、そう、事前に地元で買った切符、日付指定を間違えていたのだ。切符を買う際、連休が長かったのと、「はくたか」の金沢到着が日付を越えることもあって、訳が分からなくなっていたのではないだろうか。今日は1月4日である。声をかけなくてよかった…。
「…けど、これどうなるんだ?」取りあえずデッキに出る。
そして車掌さんに相談。車掌さんは微笑みを浮かべながら「大丈夫ですよ、ちゃんと払ってるんですから。「はくたか」でも車掌に言ってください。」と優しく応対してくれ、別席を用意してくれた。
よかった…、しかし一日後に間違えてまだよかった…。1月3日に間違えていたら切符は無効になっていた。
越後湯沢で乗り換えた「はくたか」でも事情を説明して席を用意してもらい、無事0時3分金沢駅に到着。ご迷惑をおかけしました…。
さて翌日連休最終日は日中ちょっと友達に会って(伸びきったヒゲ面を笑われたが)リフレッシュし、さあ明日から仕事…、と気持ちを切り替えていたところ、実家に戻ると、もうアレルギー症状が出ていたのであろう、また咳がぶり返し、夜中には呼吸できないレベルになった。日付も変わろうかという頃にとうとう限界に達し、近所の救急病院を受診した。そして色々検査したうえで結局未明まで点滴を受けることとなった。
珍しく計画を練って迎えた長期連休明けの仕事始めは、結局徹夜に近い、寝不足のままの出勤となった。順調に過ごせた9連休の年末年始休みも、結局は最後にお約束のようにグズグズとしょうもないトラブルが続いた締めとなった。 |
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変更してもらった切符。1月5日の切符に1月4日のスタンプが入っている。 |
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午前零時過ぎ、金沢駅に無事到着。 |
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おわり |