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北陸鉄道 能美線廃線跡 その9  (加賀福岡〜新寺井)

加賀福岡駅が最終中間駅ではあったのですが、廃線より29年前の昭和26年に廃止された「濁池」という駅がこの区間にありました。もちろんそんな痕跡はありませんが、仮にと言えば怪しい地点は2箇所。

まずはこの通り向かい、右側。能美線駅跡定番の小公園があります。
「さんさん広場」と名付けられているこの公園、園内の二つの碑の設置年から、平成12年に整備されたようです。
ただ濁池駅は新寺井駅から300メートル地点だったらしいので、ちょっと離れすぎているようにも思えましたが。
もう一つはこの大成西交差点。右側手前に大型のJAがあり、写っている左側奥の施設は公民館。いずれも駅隣接施設によく見られるものです。

ちなみにこの二地点とも(そう離れていませんが)地区名は大成。「濁池」という地名も、そういう池も発見できませんでした。
ところで、手取川を渡河して白山市(旧鶴来町)を出て以来ずっと能美市域を辿ってきましたが、能美市は平成17年に能美郡の寺井町、辰口町、根上町の3町が合併して成立した新市。そして根上町域に入ったなぁと実感するのが、この人の影がちらつくこと。地元なのです。
これは「さんさん広場」にあった碑ですが、選挙ポスターも含め、やたらとこの名を見かけます。
さてこの能美線跡の市道ですが、南北に走る、やはり市道にぶつかり途絶えます。
ただし路線跡はこの先自転車・歩行者専用道となって、最終区間となります。「とまれ」の標識の向こう側、「自転車・歩行者専用」の青い標識がその道の入口です。
歩道となった能美線跡は、緩やかに右へカーブし始めます。これは新寺井駅への進入ルート、というより国鉄線に並行する向きへ転進するための旋回で、五間堂駅跡からほぼ真西に進んできた路線跡は、最後はこの付近の国鉄線と同じほぼ真北を向くことになります。
北方向(右方向)へ旋回途上で左手の民家が途切れます。そしてその向こうにJR北陸本線の架線が見えてきます。
終端(起点ですが)はもうすぐそこです。
起点、新寺井駅跡。
駅跡は「駅前ふれあい公園」と市営駐車場へと変わっています。道路脇の空間取り以外は痕跡らしい痕跡はありませんが、大きな古いJA倉庫があることが最大の名残でしょうか。
ただし「駅前ふれあい公園」の「駅前」は当然、JR寺井駅を指したものです。
そしてJR寺井駅。
能美郡は現在の小松市を中心とした、石川県加賀地方中部の地区。現能美市となった寺井、辰口、根上の3町のうち、現役所が置かれたように寺井町の力が強いのでしょうか、根上町の中心におかれたこの駅が寺井を名乗ったのは、そういった力関係もあったのかも知れません。国鉄寺井駅開業は、北鉄能美線がこの駅と寺井町の中心を結ぶようになる13年前のことです。
そして現在寺井、根上の両町は合併し、市制を敷いたことから、この駅名を改称する動きもあるようです。

尚この寺井駅の周辺には、根上出身の、もう一人の著名人にちなんだ看板などがあちらこちらに散見されました。旧根上町の意地が伺えるようでした。
参考:「私鉄の廃線跡を歩くV(JTBパブリッシング)」「日本鉄道旅行地図帳6号(新潮社)」
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